世界屈指のリゾート地として知られるフィリピン・セブ島。日本人観光客も多く、最近では留学先としても人気を集めています。
しかしセブ島にはスラム街があり、「治安が不安」という人もいるかと思います。
筆者である私は留学でセブ島に3ヶ月ほど滞在した経験があり、スラム街ツアーにも参加して現状を見てきました。
そこで今回はセブ島のスラム街の現状と治安、活動している日本人について解説をしてきます。
※この記事は、セブ島滞在歴があるライターさんにご執筆いただきました。
フィリピン・セブ島とは?
セブ島はフィリピン中部のビサヤ諸島に位置する島です。
マニラに次ぐフィリピン第二の都市として知られ、人口は300万人を超えています。面積は4,422平方km、日本の山梨県とほぼ同じ大きさです。
日本からは東京、大阪、そして名古屋から直行便が就航しており、片道約5時間ほどでセブ島へ行くことができます。LCCの価格も安く、私がセブ島へ渡航した時は、片道2万円以下のチケットもありました。
またセブ島は常夏の島としても知られており、年間の平均最高気温は27〜30℃。基本的に半袖短パンで過ごすことができます。めちゃくちゃ暑いイメージがありますが、日本の夏のように35℃を超える日は多くありませんので、意外と快適に過ごせるでしょう。
現在セブ島中心部では大型ショッピングモールやスーパーマーケット、高層ビルの開発が進み、急激に成長をしている最中です。東南アジアならではの活気に満ちた都市です。
私がセブへ滞在した時も、高層ビルが立ち並んでいる地域も多く見かけ、セブ島のイメージを大きく覆させられました。
セブ島にあるスラム街の現状と治安について
セブ島にあるスラム街は、他の国のスラム街とは違い、都会のど真ん中にあるのが特徴です。
普通ならスラム街は密集しているのが普通ですが、セブ島ではビルとビルの間を縫うように貧困街が乱立しています。おしゃれなビルの隣がスラム街というケースも多く、綺麗な場所が安全とは言い切れません。
セブ島のスラムは川に沿って構成されています。
理由としては「生活排水を簡単に処理できる」「貴重な水源を確保できる」の2点です。私がセブ島に滞在していた時も、川辺に沿ってボロボロの家屋が建っている光景を目にしました。
私もおしゃれなカフェがある場所を散歩していたら、突然スラム街に迷い込んでしまったことがあります。そのため、セブ島では「ここが安全」「ここが危険」という境目があいまいなことがあります。
セブ島を観光する際は明るい内に行動し、スラムに入ったと思ったら引き返すようにしてください。もっとも「スラム街=危険」というわけではありません。
スラム街はあくまでそこに住んでいる方たちの居住エリアであるため、私たち外国人である日本人が観光のために行って写真を撮ったりすることはやめましょう。
セブ島を観光する時の注意点
セブ島は比較的治安が良いとされていますが、あまり治安がいいとは言えない場所もあります。そこでセブ島を観光する際に注意すべきポイントをまとめてみました。
スリや窃盗などの軽犯罪が多い
セブ島ではスリや窃盗、置き引きなどの軽犯罪の確率が日本より高いです。
私の友人もポケットにスマホを入れた瞬間に、盗まれるという事件がありました。日本人を狙った犯行が多いので、ポケットには貴重品は入れず、バッグも前で抱えるように持っておいた方がいいでしょう。
ジプニーに乗るのは危険
セブ島ではジプニーと呼ばれる乗合バスが運行しています。
タクシーよりも格安で人気がありますが、犯罪に巻き込まれる人も多いです。フィリピン人でもスリや窃盗の被害にあうほどなので、特に夜間日本人が乗るのは危険です。乗ってみたい場合は日中にしましょう。
ポーカー詐欺が横行
セブ島では日本人を狙ったポーカー詐欺が多発しています。
まずは日本語で仲良くなってご飯に誘われるのです。よくある手口としては、ショッピングモールで日本語で話しかけてくるそうです。
そこで家に遊びに来るよう誘われ、ポーカーを持ちかけられ、イカサマしかないポーカーで全財産を奪われます。もし流暢な日本語で話しかけてくるフィリピン人に出会っても、相手にしないほうがいいでしょう。
セブ島のスラムで活動する日本人達とは?
セブ島にはスラム街で活躍する日本人もいます。そこでセブ島で活動する日本人をみていきましょう。
海の上で暮らすバジャウ族を救った松田大夢さん
セブ市南部マンバリンという地域にバジャウ族の村があります。
バジャウ族とは数百年前からフィリピンやマレーシア、インドネシアの海域で生活をしている部族で、海の遊牧民として生活をしています。国籍がないため、セブ島に住むフィリピン人のなかには彼らにいい感情を持っていない人もいるそうです。
主に漁業を中心に生計を立て、マンバリン海岸沿いに高床式の家を建てて生活をしています。私もバジャウ族の村を訪問しましたが、海の上に建物が乱立している異様な光景でした。
そしてこのバジャウ族の村に住む松田大夢さんという日本人がいます。彼は新潟の高校を卒業3日前に中退し、海外放浪の旅に出でます。その時にセブ島を訪れ、バジャウ族に出会うのです。
その後、定期的にバジャウ族と会うようになり、気付いた時には自分で家を建てて住んでいました。現在はバジャウ族の奥さん、そして子供にも恵まれ幸せに生活をしています。
バジャウ族の中にゲストハウスを建設し運営しています。日本人の若者から人気があり、日本から多くの宿泊者が訪れています。バジャウ族の村長も「住むことを許した唯一の日本人」と慕っており、関係も良好だそうです。
さらにバジャウ族は彼のおかげで生活水準が上がりました。ゲストハウスの開業やバジャウ族ツアーなどで収入が得られるようになったため、バジャウ族の人々は彼に感謝しているようです。
私もバジャウ族の村の人と話しましたが、優しい人ばかりで居心地が良かったです。スラム街とはいえ、危険な感じではなくアットホームで誰でも気軽に立ち寄れる場所でしたね。
スラム街の子供達を音楽とスポーツで支援するセブンスピリット
スラム街に住む子供達は、将来の夢や希望を持つことさえも許されない厳しい環境で生活をしています。ゴミを拾って生活をし、学校にすら通えない状況。日本では考えられないような日常を送っています。
そこで立ち上がったのがNPO法人セブンスピリットです。スラム街に住むストリートチルドレン達を集め、アンサンブル音楽を教え始めました。
一人一人が役割を任され、チームで演奏をするアンサンブル音楽は、子供達の自尊心や相手を思いやる力を身に付けさせてくれます。
2017年には子供達33人を日本に招待し、東京をはじめ、関東の学校や公民館で演奏会を行いました。子供達が何年も思い描いた夢だったので、演奏をしながら号泣する子供達もいたそうです。
私もセブンスピリットを見学し演奏を聞かせてもらいました。子供達が夢や希望を失うことなく、一生懸命演奏している姿に涙が溢れてきました。
この演奏会がメディアの目に止まり、フィリピン国内でも大きく取り上げられることに。そして現在ではセブンスピリットに通う子供は、無償でセブ島の大学に進学ができるようになったのです。
スラム街の子供達が大学に行けるなんて、数年前までは夢のまた夢。
しかし、それが現実のものとなり、子供達も将来に悲観することなく、元気で明るく育つようになりました。
セブンスピリットの活動はセブ島のスラム街に勇気を与え続けているのです。
まとめ
今回はセブ島のスラム街の現状と治安、活躍している日本人について解説をしました。
スラム街というと悪いイメージがありましたが、日本人の手によっても少しづつ変わってきているようです。
セブ島ではスラム街ツアーやセブンスピリットの見学もできます。興味のある人は、ぜひ観光の計画に入れてみてはいかがでしょうか。
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